国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生など)には、保険料に月400円を上乗せするだけで将来の年金を増やせる「付加年金」という制度があります。iDeCoやNISAに比べて語られることが少なく、使わないまま第2号被保険者になってしまう人も多い。ここでは日本年金機構の案内をもとに、いくら増えるのか、誰が使えるのか、そして「2年で元が取れる」という説明だけでは見落としてしまう点を見ていきます。
出典:日本年金機構「付加年金」(2026年10月確認)。
付加年金はいくら増えるのか|国民年金に月400円を上乗せした場合
年金額の計算式は「200円×付加保険料納付月数」(年額)。払う側は400円×納付月数なので、支払総額と増える年金額(年額)の比は、納めた期間の長さにかかわらず常に2対1になる。何年納めても、受け取り始めて2年で払った額に並ぶ計算です。
| 納めた期間 | 保険料の総額 | 増える年金額(年額) |
|---|---|---|
| 10年(120月) | 48,000円 | 24,000円 |
| 20年(240月) | 96,000円 | 48,000円 |
| 40年(480月) | 192,000円 | 96,000円 |
出典:日本年金機構の計算式(保険料月額400円・年金額200円×納付月数)から単純計算。税や社会保険料の影響は含めていません。
読み取れること:比率が一定なので、長く納めるほど「有利になる」わけではありません。長く納めると増える金額そのものが大きくなるだけで、回収までの年数は変わりません。だから「何歳まで生きるか」を気にして決める種類の制度ではありません。
増えた分は、物価が上がっても増えない
ここが「2年で元が取れる」という説明だけでは抜け落ちるところです。日本年金機構は付加年金について「定額のため、物価スライド(増額・減額)はありません」と明記している。これに対して本体の老齢基礎年金は毎年度改定され、令和8年度は1.9%の引き上げで、満額が月額70,608円(昭和31年4月2日以後生まれ)になりました。
つまり、本体は物価や賃金に合わせて動くのに、付加年金の「200円×月数」だけは動きません。40年納めて増える年額96,000円は、受け取り始めるのが30年先でも96,000円のままです。2対1という比率は、あくまで名目の金額どうしの比であって、受け取りまでの年数が長い人ほど実質の価値は目減りしていく。
読み取れること:付加年金が効きやすいのは、受け取り開始までの年数が短い人。60歳前後で第1号被保険者の人や、任意加入でこれから納める人は、物価に目減りさせられる期間が短い。20代の人だと、同じ比率でも実感としては薄くなります。
加入できる人、できない人
日本年金機構は対象を「第1号被保険者・任意加入被保険者」としている。会社員・公務員(第2号)とその扶養に入っている配偶者(第3号)は対象外。さらに次の人は納付できない。
1. 国民年金基金に加入している人(日本年金機構「国民年金基金に加入中の方は、付加保険料を納付できません」)
2. 保険料の免除を受けている人(自治体の案内でも「保険料を免除されている人、国民年金基金に加入中の人は、付加保険料を納めることはできません」と案内されている)
国民年金基金も第1号被保険者が年金を上乗せするための制度だが、付加年金とは<strong>どちらか一方しか選べない</strong>。掛金の大きさも仕組みも違うので、「少額を確実に積む」のが付加年金、「掛金を決めて大きく積む」のが国民年金基金。そんな住み分けです。
申込みと、いつからの分が対象になるか
申込先は住んでいる市区町村役場の国民年金担当窓口。注意したいのは適用の開始時期で、自治体の案内では「加入は申し出のあった月から」とされている。さかのぼって過去の月を付加保険料つきにすることはできないため、使うと決めたなら早く申し出るほど納められる月数が増える。やめるときも、同じ窓口への申出が必要です。
判断軸:手元の情報で決められること
物価がどうなるかは読めないが、次の4点はいま手元の情報で答えが出る。
・自分はいま第1号被保険者か、任意加入被保険者か
・国民年金基金に加入していないか
・保険料の免除を受けていないか
・年金を受け取り始めるまであと何年あるか(この年数が長いほど、物価に目減りさせられる期間も長い)
最後の1点が、ほかの上乗せ制度と比べるときの分かれ目です。受け取りまでが長い人ほど、定額で固定される付加年金より、金額が物価や運用に連動する手段のほうが向く場面も出てきます。
☐ 国民年金基金に加入していない
☐ 国民年金保険料の免除を受けていない
☐ 月400円を毎月の保険料に上乗せして払い続けられる
☐ 年金を受け取り始めるまでの年数を数えてみた
まとめ
2.ただし物価スライドがありません。本体の老齢基礎年金は毎年度改定されますが、付加年金の額は固定されたままです。
3.国民年金基金に加入している人と保険料の免除を受けている人は納付できません。申込みは市区町村役場で、適用は申し出た月からです。
出典:日本年金機構「付加年金」「令和8年4月分からの年金額等について」、岸和田市「年金をもっと増やしたい人は! 付加年金」(いずれも2026年10月確認)。制度の細部は市区町村の案内もあわせて確認してください。


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