学生納付特例を追納しないとどうなる?|年金額には反映されないが、障害年金の資格期間には入る

学生納付特例を追納しないとどうなる?|年金額には反映されないが、障害年金の資格期間には入る 家計・節約

20歳になった大学生や専門学校生に届く「国民年金の加入のお知らせ」。多くの学生は所得がないため、学生納付特例を申請して保険料の納付を猶予してもらいます。ただしこの猶予期間、あとから追納しないとどうなるのか。結論から言うと、追納しなくても将来年金がもらえなくなるわけではありませんが、老齢基礎年金の金額には反映されません。一方で、万一のときの障害基礎年金・遺族基礎年金の資格期間にはきちんと算入されます。

学生納付特例を追納しないとどうなるか、まず結論

反映されない
老齢基礎年金の金額
追納しなかった場合
算入される
受給資格期間(10年)
未納とはここが違う
10年以内
追納できる期限
承認を受けた期間から

出典:日本年金機構「学生納付特例制度」「国民年金保険料の追納制度」(2026年10月7日確認)

そもそも学生納付特例とは

学生納付特例は、20歳以上の学生について国民年金保険料の納付を猶予する制度です。対象は大学(大学院を含む)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および修業年限が1年以上の各種学校、指定された海外大学の日本分校に在学する学生です。本人の前年所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下であることが条件で、家族(世帯主や親)の所得は審査の対象になりません。

用語メモ:「猶予」と「未納」の違い
猶予は申請して承認された状態、未納は何もせず払っていない状態です。見た目はどちらも「払っていない」ですが、万一のときの保障の有無が変わります。この記事でいちばん大事な区別です。

申請は毎年度必要。出し忘れに注意

学生納付特例は一度申請すれば自動的に続くわけではなく、原則として毎年の申請が必要です。審査は4月から翌年3月までを対象として行われます。さかのぼっての申請は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間まで可能です。申請先は住んでいる市区町村の国民年金担当窓口、年金事務所の窓口、または郵送で、マイナポータルからオンラインでも申請できます。必要書類は申請書と、学生証のコピーまたは在学証明書です。

読み取れること:一度出したから大丈夫、ではありません。毎年度あらためて申請が要ります。進学・卒業・休学など状況が変わる年は特に、出し忘れていないか確認してください。遡れるのは2年までです。

未納・猶予・追納済みで何が変わるか

「申請せず未納のままにする」「申請して猶予を受けたままにする」「猶予を受けたうえで追納する」の3つで、将来の扱いがどう変わるかを並べます。

未納のまま 学生納付特例(追納なし) 猶予後に追納済み
老齢基礎年金の金額 反映されない 反映されない 反映される
受給資格期間(10年) 算入されない 算入される 算入される
障害・遺族基礎年金の資格期間 算入されない 算入される 算入される
保険料の負担 なし なし 後払いで発生

出典:日本年金機構「学生納付特例制度」

同じ「払っていない」状態でも、申請したかどうかで万一のときの保障が変わります。まず申請だけは済ませたうえで、追納するかどうかは別に考える。この順番が確実です。

追納は3年度目から加算額がつく

猶予を受けた保険料は10年以内であればさかのぼって追納できます。ただし承認を受けた翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。早いほど保険料本体の金額だけで済み、先延ばしにするほど負担が増える仕組みです。

追納のタイミング 加算額 補足
承認の翌年度・翌々年度(1〜2年度目) なし 当時の保険料額のまま納付できる
3年度目以降 あり 経過期間に応じて上乗せ。具体額は年金事務所で確認する

出典:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」

追納するかを決める判断軸

令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円、老齢基礎年金の満額は月額70,608円・年額847,296円です。これをもとに、2年間(24か月)猶予を受けて追納しなかった場合を試算すると、老齢基礎年金は年額でおよそ4万2,000円少なくなります(847,296円×24か月÷480か月で計算した目安です。実際の受給額は将来の改定などで変わります)。一方、この24か月分を今の保険料額のまま追納すると約43万円。単純計算では年金を10年ほど受け取れば差額を回収できますが、あくまで一例です。

追納するか決める前に確認したいこと
☐ 自分が猶予を受けた月数はどれくらいか(ねんきん定期便や年金事務所で確認できる)
☐ 承認から3年度目に入っていないか(入る前なら加算額がつかない)
☐ 追納に回せる手元資金が今あるか、社会人になってからの余裕で考えるか
☐ 老後の年金額を重視するか、目先の負担を抑えることを優先するか

追納しなくても、申請だけはしておく

学生納付特例を使わず保険料を未納のままにしておくと、万一在学中に事故や病気で障害が残った場合、障害基礎年金を受け取れない可能性があります。承認を受けていれば、猶予期間は受給資格期間の対象として扱われます。追納するかどうかは卒業後にゆっくり考えればよいことですが、在学中の「申請」だけは別です。

読み取れること:申請は無料で、猶予を受けても失うものはありません。追納の判断と、申請の判断は切り離して考える。迷っているうちに申請期限を過ぎると、取り返しがつかないのは申請のほうです。

なお、追納期限の10年を過ぎてしまい、将来の年金額をもう少し増やしたいという場合は、60歳から65歳までの間に任意で保険料を納められる「任意加入制度」を使う方法もあります。追納とは別の制度で条件も異なるため、仕組みの違いを確認してから検討してください。

まとめ

1.追納しなくても将来年金がもらえなくなるわけではありませんが、老齢基礎年金の金額には反映されません。
2.猶予期間は障害基礎年金・遺族基礎年金の資格期間には算入されます。未納とはここが決定的に違います。
3.追納するなら3年度目に入る前(加算額がつく前)。まずは今年度分の申請を忘れないことです。

※制度の内容や金額は改定される場合があります。自分が猶予を受けた期間や追納できる額は、ねんきん定期便または年金事務所でご確認ください。

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