学生アルバイトの163万円は勤労学生控除の上限|所得税は178万円までゼロ、住民税の基準は別です

学生アルバイトの163万円は勤労学生控除の上限|所得税は178万円までゼロ、住民税の基準は別です 家計・節約

「学生なら163万円までは税金がかからないらしい」。アルバイト先から年末調整の書類を渡されて、そんな話を聞いたことがあるかもしれません。調べてみると、163万円という数字が示しているのは「税金がゼロになる上限」ではなく、別のものでした。

学生アルバイトの163万円は、勤労学生控除が使える上限です

国税庁の勤労学生控除の案内では、控除を受けられる人の条件のひとつが「合計所得金額が85万円以下」とされ、注記で、令和8年分からはこれが89万円以下になると説明されています。給与だけで働いている学生の場合、給与所得控除の最低保障額が令和8年分から74万円に上がったため、給与収入163万円がちょうど合計所得89万円にあたります。163万円は、この条件のラインをそのまま給与収入に直した数字です。

27万円勤労学生控除の額(所得税)
合計所得89万円以下令和8年分からの条件
給与収入163万円給与だけの場合の目安

出典:国税庁タックスアンサーNo.1175「勤労学生控除」、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(2026年10月時点の公表情報)

所得税がゼロになるのは178万円まで。163万円ではありません

ここが混同されやすいところです。163万円を超えたら所得税がかかる、というわけではありません。令和8年分の所得税の基礎控除は、合計所得金額132万円以下の人で104万円です。給与所得控除の最低保障額74万円と合わせると、給与収入178万円までは課税される所得が残りません。勤労学生控除を使わなくても、そこまでは所得税がかからない計算になります。

給与収入 合計所得金額 勤労学生控除
119万円 45万円 使える
163万円 89万円 使える(ここが上限)
178万円 104万円 使えない
163万円を超えたらどうなるか勤労学生控除は使えなくなりますが、所得税は178万円まではかかりません。163万円を1円でも超えたら急に税金が増える、という性質のものではないということです。影響が出るのは、次に説明する住民税のほうです。

住民税は、勤労学生控除を使っても残ります

所得税がもともとゼロなら、勤労学生控除は何のためにあるのでしょうか。効いてくるのは個人住民税のほうです。住民税については、所得税のような基礎控除の引き上げが行われていません。札幌市の案内にも「個人住民税に適用される基礎控除の改正はありません」と明記されています。勤労学生控除の額も、所得税の27万円に対して住民税は26万円です。

そのうえで、住民税が非課税になるのは、名古屋市の案内では前年の合計所得金額が45万円以下(給与収入だけなら119万円以下)の場合です。163万円働くと合計所得は89万円なので、この基準を大きく超えます。勤労学生控除を使っても、課税される所得はいくらか残る、というのが実際のところです。

住民税は1年遅れでやってきます住民税は前年の所得に対してかかります。2026年(令和8年)に働いた分の住民税は、令和9年度分として2027年の6月以降に請求されます。学生アルバイトの場合、卒業して働き始めた年に、学生時代の収入にかかる住民税が届く形になりやすいので、163万円近くまで働いた年は、その分を少し残しておくと慌てずに済みます。

親の税金の話は、また別の基準で決まります

163万円と並んでよく出てくるのが、「いくら稼ぐと親の税金が上がるか」という話です。これは学生本人の勤労学生控除とは別の制度で、見ている数字も違います。名古屋市の令和9年度の案内では、扶養親族等の所得要件は合計所得62万円以下(給与収入だけなら136万円以下)、特定親族特別控除の対象になるのは合計所得62万円超123万円以下とされています。つまり136万円を超えたあたりから親側の控除が段階的に変わり、163万円はすでにその範囲に入っています。自分の税金の話と親の税金の話は、別々に確認してください。

勤労学生控除を受けるための条件と、手続き

国税庁の案内では、その年の12月31日の時点で次の3つすべてに当てはまることが条件とされています。

3つの条件

  • アルバイトの給与など、勤労にもとづく所得があること
  • 合計所得金額が89万円以下(令和8年分から)で、かつ勤労にもとづく所得以外の所得が10万円以下であること
  • 学校教育法上の学校、一定の専修学校・各種学校、認定職業訓練を行う施設のいずれかの学生・生徒であること

手続きは、勤務先に出す「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の勤労学生の欄に書きます。専修学校や各種学校、認定職業訓練の場合は、学校などが発行する証明書が必要になります。年末調整で出しそびれた場合でも、自分で確定申告をすれば受けられます。

判断軸は、今年の給与総額がいくらになるか

使うかどうかの判断に、相場や制度の先行きを読む必要はありません。必要なのは、今年の給与総額の見込みという、自分で数えられる数字だけです。残りのシフトと時給から年内の合計を出して、次のどこに入るかを見てください。

見込み額で決まること

  1. 119万円以下なら、住民税も非課税の範囲。手続きを増やさなくても困りません
  2. 119万円超から163万円までなら、勤労学生控除を申告書に書く価値があります。住民税が軽くなります
  3. 163万円超なら、勤労学生控除は使えません。ただし所得税は178万円までかかりません
  4. 136万円を超えるなら、親が受けている控除も変わります。家で一度共有しておくと安心です

出典:国税庁タックスアンサーNo.1175「勤労学生控除」・No.1199「基礎控除」、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」、名古屋市「令和9年度以降適用される市民税・県民税に関する主な税制改正」、鹿児島市「勤労学生控除を受ける要件」、札幌市「ワンポイント税制改正 令和8年度」(いずれも2026年10月時点の公表情報に基づきます)

税制は改正されることがあります。実際の控除額や要件は、国税庁のサイトとお住まいの市区町村の案内でご確認ください。

あわせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました