退職の手続きを進めていると、「健康保険はどうしますか」という書類にぶつかります。いまの協会けんぽを任意継続するか、住んでいる市区町村の国民健康保険に入り直すか。どちらが安いのか調べたのですが、一律には決まりませんでした。
決め手になるのは保険料の計算のしかたの違いで、そこに効いてくるのが扶養している家族の人数と、退職の理由です。
任意継続と国民健康保険では、保険料の決まり方が違います
出典:全国健康保険協会「任意継続被保険者制度」(2026年10月時点)
任意継続の保険料は、退職したときの標準報酬月額をもとに、住んでいる都道府県の保険料率をかけて計算します。在職中は会社と折半していた分も自分で払うことになるので、給与から引かれていた額のおおむね2倍です。しかもこの額は、加入している間ずっと据え置かれます。
国民健康保険料のほうは、前年の所得と世帯の加入者数で毎年度計算し直されます。つまり、片方は過去の給料で固定、もう片方は前年の所得で毎年動く。性格の違う2つを比べることになります。
任意継続には「2か月以上」と「20日以内」の条件があります
任意継続被保険者になるには、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あることが必要です。手続きの期限は退職日の翌日から20日以内(20日目が土日祝なら翌営業日)で、ここを過ぎると加入できません。退職してから比べはじめると間に合わないことがあるので、見積もりは在職中に取っておきたいところです。
国民健康保険には「扶養に入れても増えない」仕組みがありません
協会けんぽでは、配偶者や子どもを被扶養者にしても保険料は増えませんでした。国民健康保険にはこの扱いがなく、加入する人数分の均等割がかかります。扶養していた家族が多い世帯ほど、国保に切り替えたときの負担が相対的に重くなるのはこのためです。
会社都合の退職なら、結果が逆転することがあります
倒産や解雇、雇い止めで離職した人には、国民健康保険料の計算で前年の給与所得を100分の30とみなす軽減があります。所得割の土台が7割減るので、国保側の金額が大きく下がり、任意継続と比べた結論がひっくり返ることがあります。
2年を待たずにやめられるので、「1年目だけ任意継続」も選べます
任意継続は、申し出れば2年を待たずにやめられます(ほかに、就職して別の健康保険に入った、保険料を期限までに納めなかった、後期高齢者医療制度に移った場合も資格を失います)。
ここが比較の幅を広げます。任意継続の保険料は在職中の給料で固定される一方、国民健康保険料は前年の所得で決まるので、退職の翌年度には国保側が下がります。退職1年目は任意継続、所得が下がった2年目から国保、という切り替え方も現実的な選択肢です。やめる手続きの時期によって資格を失う日が決まるので、切り替えるつもりなら事前に協会けんぽへ確認してください。
比べる前に、この3つを確認してください
どちらが安いかは一般論では決まりません。相場や制度の先行きではなく、自分がすでに答えを持っている3点で考えると結論が出ます。
□ 退職の理由は会社都合・雇い止めに当たるか(当たるなら国保の軽減を計算に入れる)
□ 前年の所得から、退職後はどれくらい下がる見込みか(任意継続は下がらない、国保は翌年度から下がる)
3つとも、相場を読む話ではありません。いま手元にある源泉徴収票と離職票を見れば答えが出ます。そのうえで、協会けんぽに任意継続の保険料額を、市区町村に国保の試算を出してもらえば、同じ土俵で比べられます。
2. 国民健康保険は前年所得と加入者数で決まるので、扶養家族が多いほど負担が増えやすい
3. 会社都合の退職なら国保に3割計算の軽減がある。軽減後の金額で比べないと結論を間違える
4. 任意継続の申出は退職日の翌日から20日以内。比べるのは在職中に
制度の内容は変わることがあります。実際の保険料は、全国健康保険協会(協会けんぽ)とお住まいの市区町村でご確認ください。


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