生命保険料控除、住民税の上限は所得税と違います|新契約2.8万・旧契約3.5万、合計7万円まで

生命保険料控除、住民税の上限は所得税と違います|新契約2.8万・旧契約3.5万、合計7万円まで 家計・節約

※本記事は制度の解説です。広告は含みません。

年末調整で生命保険料控除をきちんと書いたのに、翌年6月に届いた住民税の決定通知書を見たら、控除額が思っていたより小さい。書き間違えたのかと心配になりますが、多くの場合は間違いではありません。住民税の上限が、そもそも所得税より低いからです。

28,000円新契約・1区分あたりの上限(住民税)
35,000円旧契約・1区分あたりの上限(住民税)
70,000円3区分を合計した上限(住民税)

出典:和歌山県「個人県民税 生命保険料控除」(和歌山県)、船橋市「個人市民税・県民税と所得税の違い」(船橋市)

所得税と住民税で、生命保険料控除の上限は違います

生命保険料控除には一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3区分がありますが、1区分あたりの上限も、3区分を合計した上限も、所得税と住民税で別々に決まっています。

区分 所得税の上限 住民税の上限
新契約(平成24年1月1日以後)の1区分 40,000円 28,000円
旧契約(平成23年12月31日以前)の1区分 50,000円 35,000円
3区分を合計した適用限度額 120,000円 70,000円

出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」(国税庁)と、上記の自治体ページ

読み取れること:3区分を満額使っても、住民税側で引けるのは7万円までです。所得税の12万円と比べると5万円低いことになります。保険料を払い足しても住民税の控除は7万円で頭打ちなので、節税を目的に保険を増やす判断の根拠にはなりません。

住民税の控除額の計算式

上限に届かない場合は計算式で決まります。所得税とは金額の区切りも違います。

新契約(平成24年1月1日以後に締結した契約)

年間の支払保険料 住民税の控除額
12,000円以下 支払った金額の全額
12,000円超 32,000円以下 支払った金額 × 1/2 + 6,000円
32,000円超 56,000円以下 支払った金額 × 1/4 + 14,000円
56,000円超 一律 28,000円

旧契約(平成23年12月31日以前に締結した契約)

年間の支払保険料 住民税の控除額
15,000円以下 支払った金額の全額
15,000円超 40,000円以下 支払った金額 × 1/2 + 7,500円
40,000円超 70,000円以下 支払った金額 × 1/4 + 17,500円
70,000円超 一律 35,000円

出典:和歌山県「個人県民税 生命保険料控除」

新契約と旧契約の両方があるとき

新旧それぞれの式で計算した金額を合計しますが、各区分の控除限度額は28,000円、全体の控除限度額は70,000円です。旧契約だけなら1区分35,000円まで使えるのに、新契約を足すとその区分の枠が28,000円に下がる、という形になります。

控除額が小さいぶん、税額への効き方も小さくなります

住民税の所得割は、所得に応じて税率が変わるのではなく一定の率です。船橋市の説明では市民税が6%、県民税が4%とされています。

目安の計算控除額が7万円まで使えたとすると、所得割への影響は7万円×10%でおよそ7,000円です。所得税側は税率が人によって違うので一律には出せませんが、住民税側は「控除額の約1割」で見当がつくのが特徴です。自治体によって率や均等割の扱いが異なる場合があるので、正確な金額は手元の決定通知書で確かめます。

23歳未満の扶養親族がいる人の6万円は、住民税にも及ぶのか

ここが今年いちばん分かりにくいところです。所得税では2026年分(令和8年分)から、23歳未満の扶養親族がいる場合に一般生命保険料の控除額の上限が6万円に引き上げられています。これは国税庁のページに記載があります。

では住民税はどうか。調べた範囲では、この引き上げを住民税にも適用するという記載は見つけられませんでした。総務省の「令和8年度地方税制改正(案)について」に生命保険料控除の項目はなく、複数の市町村が出している令和9年度の個人住民税の改正案内にも、生命保険料控除は挙がっていません。

ここは断定しません「資料に記載が見当たらない」ことと「適用されない」ことは同じではありません。住民税の扱いが気になる場合は、お住まいの市区町村の住民税担当に確認するのが確実です。この記事は、確認できた範囲として「所得税側の引き上げは確認できたが、住民税側の対応は公表資料から確認できなかった」とだけ書いておきます。

年末調整での書き方は変わりません

上限が違っても、年末調整で出す保険料控除申告書は1枚だけです。住民税のために別の用紙を出す必要はありません。上限の差は、自治体が住民税を計算するときに自動的に適用されます。

つまり「住民税の上限が低いから書かなくていい」ということはありません。所得税で控除を受けるために書く必要があり、その内容がそのまま住民税側の計算にも使われます。

上限が違うのは生命保険料控除だけではありません

同じ構図は地震保険料控除にもあります。船橋市の説明では、限度額は市民税・県民税が25,000円、所得税が50,000円とされています。

読み取れること:保険料控除はどれも住民税側が低めに設定されていると考えておくと、決定通知書を見たときに驚きません。「所得税で引けた額がそのまま住民税でも引ける」という前提で手取りを試算すると、見込みより住民税が多くなります。
この記事のまとめ

  1. 生命保険料控除の上限は所得税と住民税で別です。住民税は新契約28,000円、旧契約35,000円、3区分合計で70,000円です。
  2. 新旧の契約が混在すると、その区分の枠は28,000円になります。全体は70,000円が上限です。
  3. 23歳未満の扶養親族がいる場合の6万円は所得税の話で、住民税側の扱いは公表資料から確認できませんでした。市区町村に確認するのが確実です。

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