消費支出が8か月連続マイナス|賃金は増えたのに使えない理由

消費支出が8か月連続マイナス|賃金は増えたのに使えない理由 家計・節約

総務省が2026年9月4日に公表した家計調査によると、2026年7月の消費支出(二人以上の世帯)は1世帯あたり301,245円で、物価変動の影響を除いた実質では前年同月比3.6%の減少でした。実質の減少は8か月連続です。

一方で、当サイトで以前取り上げたとおり、実質賃金は7か月連続でプラスが続いています。賃金は増えているのに、消費は減っている。このねじれが何を意味するのか、そして家計として何を見ればよいのかを整理します。

2026年7月の家計調査の数字

消費支出(二人以上の世帯) 301,245円
前年同月比(実質) 3.6%の減少(8か月連続の減少)
前年同月比(名目) 1.5%の減少
公表日 2026年9月4日

ここで注目したいのは名目でも1.5%減っている点です。

実質の減少だけなら「物価が上がったぶん目減りした」という説明で済みます。実際、実質消費支出は名目の支出額を物価変動で割り戻して算出するため、支出額が前年と同じでも物価が上がっていればマイナスになります。

しかし今回は名目そのものが減っています。つまり財布から出ていく金額自体が前年より少ないということです。値上げが続く中で支払額が減っているのですから、買う量や回数を実際に減らしていると考えるのが自然です。

物価はどれくらい上がっているか

比較の前提として、直近の物価を確認しておきます。総務省が2026年9月18日に公表した2026年8月の消費者物価指数(全国)は次のとおりです。

  • 総合:前年同月比1.9%の上昇
  • 生鮮食品を除く総合(コア):1.7%の上昇
  • 生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア):1.9%の上昇

2%には届いていませんが、上昇は続いています。この水準の物価上昇が続く中で名目支出が1.5%減っているということは、実質的な購買量の縮小幅はそれなりに大きいと考えられます。

賃金はプラス、消費はマイナスというねじれ

実質賃金は7か月連続でプラスです。それでも消費が増えないのはなぜか。断定はできませんが、いくつかの見方があります。

ひとつは回復の起点が低いことです。実質賃金は令和7年度まで4年度連続でマイナスでした。直近でプラスに転じたとはいえ、それ以前に目減りした購買力を取り戻しきったわけではありません。増えたのは「前年比」であって、水準が十分に戻ったという意味ではない、ということです。

もうひとつは先行きへの備えです。値上げが続く局面では、収入が増えてもすぐに支出を増やさず、貯蓄に回す判断をする世帯が一定数あると考えられます。

いずれにせよ、平均値の動きから個々の家計の事情を断定することはできません。重要なのは、自分の家計がこの平均とどう違うかを把握することです。

301,245円という平均値の使い方

この金額は二人以上の世帯の平均です。単身世帯や三世代同居には当てはまりません。世帯人数、地域、持ち家か賃貸かによって水準は大きく変わります。

そのため「平均より多いから使いすぎ」「平均より少ないから安心」という読み方は適切ではありません。比べる相手は全国平均ではなく、自分の去年です。

家計調査の数字が役に立つのは、自分の変化を解釈するときの物差しとしてです。たとえば自分の支出が前年より3%減っていたとしたら、それは全国平均と同じ動きをしているということになります。逆に前年より増えているなら、平均とは違う要因が自分の家計にあることになります。

見直すべき費目を見つける3つの軸

全国平均のマイナス幅を見ても、どこを削るかは決まりません。次の3つで自分の内訳を確認してください。

  1. 直近3か月で金額が増えている費目はどれか。全国平均ではなく自分の過去実績と比べます。値上げの影響が集中している費目が見えれば、対策の優先順位がつきます。家計簿アプリやクレジットカードの明細を月別に並べるだけでも十分です。
  2. 12か月以上見直していない固定費はあるか。通信費、保険、サブスクリプションが代表例です。固定費は一度見直せば効果が毎月続くため、日々の買い物を切り詰めるより負担が小さく済みます。とくに通信各社は還元条件を頻繁に変えているため、契約時に有利だったプランが今も有利とは限りません。
  3. 変動費のうち、減らしても生活の質が落ちにくいものはどれか。ここは家族構成やライフスタイルで答えが変わります。外食の頻度なのか、まとめ買いの仕方なのか、決済手段の選び方なのかは、人によって違って当然です。他人の節約リストを写すより、自分の明細を見たほうが早く見つかります。

削る前に確認したいこと

支出を一律に減らすのは避けたいところです。名目支出が全国で1.5%減っているという事実は、多くの世帯がすでに「買う量を減らす」段階に入っていることを示しています。そこからさらに一律に削ると、生活の質が落ちる部分に手をつけることになりかねません。

効率がよいのは、増えている費目と、削っても影響が小さい費目を切り分けるやり方です。前者は値上げへの対応、後者は選択の問題で、打ち手が違います。

家計調査は毎月公表されます。自分の見直しの効果を確認するときに、物価と消費の全国的な動きとあわせて見ると、自分の家計だけの問題なのか全体の傾向なのかを切り分けやすくなります。月に一度、固定費と物価をセットで振り返る習慣にしておくと、変化に早く気づけます。

まとめ

2026年7月の消費支出は301,245円で、実質は前年同月比3.6%減と8か月連続のマイナス、名目でも1.5%減でした。物価は8月時点で総合1.9%の上昇が続いています。実質賃金は7か月連続プラスですが、消費はまだ回復していません。

平均値は自分の家計の答えにはなりません。自分の去年と比べて、増えている費目と削れる費目を切り分けるところから始めるのが現実的です。

※本記事の数値は総務省統計局「家計調査報告(二人以上の世帯)2026年7月分」(2026年9月4日公表)および「消費者物価指数 全国 2026年8月分」(2026年9月18日公表)に基づきます。

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