電気代と都市ガス代が9月のマイナスからプラスへ|東京都区部の10月の物価は2.8%上昇

電気代と都市ガス代が9月のマイナスからプラスへ|東京都区部の10月の物価は2.8%上昇 経済ニュース

電気代の明細を見て、先月より少し上がっている気がする。そう感じた人もいるかもしれません。2026年10月30日に総務省統計局が公表した東京都区部の消費者物価指数(10月分、中旬速報値)を見ると、電気代と都市ガス代は、9月まで前年同月比でマイナスだったものが、10月にそろってプラスへ変わっていました。

電気代と都市ガス代が、9月のマイナスからプラスへ

まず、符号そのものが変わった品目を見ます。前年同月比の数字です。

品目 2026年9月 2026年10月
電気代 -2.6% +1.7%
都市ガス代 -0.5% +4.9%
ガソリン -2.6% -2.3%
灯油 +11.0% +11.6%

出典:総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 東京都区部 2026年(令和8年)10月分(中旬速報値)」(2026年10月30日公表)表5

読み取れること:電気代と都市ガス代は、下がっていた状態から上がる状態へ切り替わりました。一方でガソリンはマイナスのまま下げ幅が縮んだだけ、灯油は9月から続けて1割を超える上昇です。同じ「エネルギー」でも、4つの品目が揃って動いているわけではありません。

総務省の資料にも「電気代、都市ガス代がプラスに転じ」と、符号の変化がそのまま書かれています。資料では、この動きによってエネルギー全体が総合指数の上昇幅を0.18ポイント押し上げたと説明されています。

「補助金が終わったからですか」という疑問

電気代とガス代が上がったと聞いて、最初に浮かぶのはこれだと思います。ただ、今回の公表資料を読むかぎり、電気代と都市ガス代がプラスに転じた理由についての説明は見当たりませんでした。資料が示しているのは、どの品目が総合指数をどれだけ動かしたかという寄与度の数字だけです。

事実として並べられるのは、時期の重なりまでです。電気・ガス料金への補助は2026年9月使用分で終了しており、10月の検針分からは補助のない単価に戻っています。補助があった月と無い月を前年の同じ月と比べれば、単価の差は出やすくなります。

この記事で断定しないこと前年同月比は「去年の同じ月」との比較です。去年の同じ月に補助があったかどうかによっても数字は変わるため、「補助の終了がプラス転換の原因」と言い切るには、公表資料に書かれていない前提を足すことになります。確実に言えるのは、10月分で電気代と都市ガス代がプラスに転じたという事実と、エネルギーが総合の上昇幅を0.18ポイント押し上げたという寄与度です。

物価全体は2.8%の上昇、ただし3つの指標は同じ方向を向いていません

東京都区部の10月分で公表された3つの指標です。

2.8%総合指数
2.6%生鮮食品を除く総合
2.6%生鮮食品及びエネルギーを除く総合

出典:同上「概況」(いずれも前年同月比)

用語メモニュースで「コア」と呼ばれるのが生鮮食品を除く総合、「コアコア」と呼ばれるのが生鮮食品及びエネルギーを除く総合です。天候で動きやすい生鮮食品や、燃料価格で動きやすいエネルギーを外して、物価の基調を見るための指標です。

9月分と並べると、3つの指標が別の方向に動いていることが分かります。

指標 2026年9月 2026年10月
総合指数 2.7% 2.8%
生鮮食品を除く総合 2.7% 2.6%
生鮮食品及びエネルギーを除く総合 2.9% 2.6%

出典:同上 表1(前年同月比)

読み取れること:総合だけがわずかに拡大し、残りの2つは縮んでいます。エネルギーが押し上げた分が総合に表れ、エネルギーを除いた指標では縮んだ、という形です。この1か月だけを見て「物価が加速した」とも「落ち着いてきた」とも言い切れません。

食料は、エネルギーとは別の方向に動いています

同じ月の生鮮食品の数字です。こちらはもともと高い伸びが続いています。

品目 2026年10月の前年同月比
生鮮食品 +8.6%
生鮮野菜 +10.5%
生鮮魚介 +14.2%

出典:同上 第1表・第2表

読み取れること:エネルギーが符号を変えた月でも、食料は高い伸びのままです。家計のうち食費の比率が高い世帯と、光熱費の比率が高い世帯とでは、同じ月の物価でも体感が変わります。平均の数字が自分の実感と合わないのは、この構成の違いが理由のひとつです。

この数字は東京都区部だけの、全国に先立つ先行指標です

総務省の資料には「全国結果に先立ち、先行指標として東京都区部(中旬時点)のみの結果を速報として公表するものです」と明記されています。

全国の2026年10月分は2026年11月20日(金)に公表される予定です。東京都区部の11月分(中旬速報値)は11月27日(金)です。

東京都区部と全国では、調査する店舗も品目の構成も違います。同じ月でも数字が一致するとは限らないので、全国の傾向として扱うのは11月20日の公表を待ってからのほうが確実です。

自分の請求書で確認すること

統計の数字は平均であって、自分が契約している会社の料金そのものではありません。実際にいくら変わったかは、手元の検針票を見るのが確実です。

検針票やWebの明細で見るところ

  • 「燃料費調整額」または「燃料費調整単価」の欄が、プラスかマイナスか
  • 使用量(電気はkWh、ガスはm³)が、前月と前年同月でどれだけ違うか
  • 金額が増えた理由が、単価の変化によるものか、使用量が増えたことによるものか
冬は使用量そのものが増えます11月から3月は暖房で使用量が伸びる時期です。単価と使用量を分けて見ないと、「値上がりした」のか「たくさん使った」のかが区別できません。前年同月の検針票が残っていれば、使用量の欄だけを先に見比べてみてください。

まとめ

  1. 東京都区部の10月の物価は前年同月比2.8%の上昇。電気代(+1.7%)と都市ガス代(+4.9%)が、9月のマイナスからプラスに転じた
  2. 一方で生鮮食品を除く総合と、生鮮食品及びエネルギーを除く総合は9月より縮んでおり、3つの指標が同じ方向に動いたわけではない
  3. 自分の支払いは統計ではなく、検針票の燃料費調整額の欄と使用量で確認する。冬は使用量が増えるので、単価と使用量を分けて見る

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